「それからこれ食べて下さい」


僕は先生に、ある物を差し出した。


「なにこれ?」と案の定、石田先生は怪訝な顔をする。


「こんにゃくです。これを食べると韓国語もわかりますから」


「どこかで聞いたことがあるな。著作権とか大丈夫なの?それに、僕は味のないこんにゃく食べるくらいなら、言葉が通じない方を選択するよ」


「味噌味もありますよ?」


「もっとなんかないの?」


「仕方ないですね。特別ですよ?」


そう言って、僕はカバンの中に手を突っ込んだ。


「チャララチャッチャチャー‼︎ほんやくコニャックー‼︎」


「いやだから、訴えられるよ?アダルティーなのは嫌いじゃないけど」


ニヤリと微笑む先生は、コニャックをゴクゴクと飲み出した。


「いい飲みっぷりですね?お酒、いけるほうなんですか?」


そう尋ねると、ほぼ一気飲みした先生が一言言った。


「下戸ですけど?」


「ええっ‼︎ダメじゃないですか!」


「だって川村くん、これは新歓コンパの流れだよね?俺の酒が飲めないのか的な、エンジェルハラスメント、略してエンハラ」


「ち、違いますよ‼︎人聞き悪い。天国はそんなブラックじゃありません‼︎」


「酔ってるんで無礼講でお願いしますよ」


「酔ってなくても無礼講じゃないですか」


僕の本音は、1人チューチュートレインを踊り出した先生には届いていなかった__。


「オエッ‼︎回ると酔いも回る」