「それでは踊って頂きましょう、甘栗ちゃんのテーマソング、大きな栗の木の下で」


どうやらパフォーマンスとして、栗の歌には合わせて踊るらしい。


何故か茶色の全身タイツに身を包んだ僕たちは、もう汗でベトベト。


「これはなかなか良い選曲ですね」


「ちょっと一休みもできるし」


舞台中央に進み出るまでにコケること8回。さすがの石田先生も「これコケて亡くなるパターンのやつじゃない?」と息を切らせていたが、緩やかな童謡なら問題ない。


ホッと一息ついたのもつかの間。


「テクノバージョンなんで、とりあえず走ります」


「えっ‼︎」


引っ張られる形で、走り出した栗。時折ジャンプをしたり、でんぐり返りをしたりと暴走する。


ようやく終わったかと思いきや。


「次はハウスバージョンで3番が盆踊りになります」


冷静に説明されつつも踊り狂う、栗。


ようやく、ようやく終わった矢先のこと。


「なんだか特技があるらしいですね?」


司会に促され、例のゴマを噴射することになった。


「先生、その紐を引っ張って下さい」


「どこ?暗くて見えないけど?」


「そこ、そこです」


「これかな?紐っていうか、なんかシッポみたいだけど?」


そう言いながら、先生は思いっきり引っ張った。


「ぎゃん‼︎がぶ‼︎」


「痛‼︎これ半蔵のシッポだったよ‼︎」


「ちょ、動かないで下さい‼︎またコケちゃいますって‼︎」


「ゴマを‼︎ゴマを飛散しないと‼︎」


もう、何が何やら分からなく半狂乱の、栗。


ばたり‼︎と倒れた後には、その先端から半蔵が飛び出しゴマを食べ、見るも無残な栗の死骸だけが残る。そんな悲惨な行く末を見守る観衆に向かって、僕たちは叫んだ。


「僕たち、ゴボちゃん‼︎」