「何やってるんだよ、サッちゃん。しかも半蔵を潰した感じになってるじゃんかー」


「すみません。新婚で少し浮かれてたもので」


「サッちゃん、結婚したの?それはおめでとう‼︎」


かつての旧知の仲を、2人は抱き合って喜んでいる。


ここで本題に入らねば。と、その前に準備をば__。


「川村くん、どっからツッコミ入れたらいいのか」


「もしかしたら、ゆるキャラですか?」


さすが、ゆるキャラ界のエキスパートなだけある。サッちゃんさんは、ゆるキャラに扮した僕を食い入るように観察している。一方、先生はというと__。


「これはないよ、コンセプトは分かるけどさ」


「この紅生姜、動くんですよ、ほら」


「一応、聞くけどなんて名前?」


「天国会マスコットキャラ、エンジェルライスです」


「ただの天使飯、いや、天津飯じゃないか」


呆れたように、でかいリアル天津飯の被り物をカブった僕のグリーンピースを引っ張る石田先生。


「今度、天国会のキャラクター選挙があって、なんとしてでもこのエンジェルちゃんを推したいんです。それには、是非、お二人の力を貸して頂きたい」


「無理」


「は、早くないですか⁉︎」


僕は先生__の、以前の秘書に抗議をした。このエンジェルちゃんが、いかに天使の間で愛されており、きっとゆるキャラ界でも__。


「まず、ご当地名物でキャラにしていいのは、軽く摘めるもの、一口で食べられるものに限ります。ご飯ものは見栄えが良くありません。中央に向かって広がっているので、手足が動かしにくい。なにか得意技がありますか?え?グリーンピースが飛ぶ?ごめんなさい、インパクトに欠けます。もしキーホルダーなどのグッズになった時にも使える技にしないといけません。あとそれから__」


「えーと、まだありますか?泣いてもいいですか?」


「ネームは日本語のほうがいいですね。以上です」