「サッちゃん⁉︎サッちゃんじゃないかー‼︎」


「先生‼︎懐かしいですー。あんまり会いたくありませんでしたけどー‼︎」


「わん‼︎」


「相変わらずはっきり物言うなー」


「だって、先生の近くに居ると、ろくなことありませんからー‼︎」


「がぶり‼︎」


「サッちゃんがココに居るってことは、もしかして亡くなったの?」


「そうみたいですね」


「むしゃむしゃ」


「サッちゃんまだ若いのに。ていうか、なんで半蔵まで一緒に?」


先生が足にかぶりついている、真っ黒なパグを抱きしめた。


でも__僕たち天使は、実態があってないようなもんだから、食べられることはないんだけど?


それに、再会を懐かしがってはいるが、先生の秘書をしていたサッちゃんは、あの若さで亡くなった。


それを受け入れることはなかなか__。


「亡くなったものは仕方ないですよねー」


あっけらかんと微笑む、元議員秘書。やっぱり、あの先生の下で働いていただけのことはある。


「それで、サッちゃんはどうして亡くなったの?」


先生が僕に尋ねるので、届いたばかりの資料に目を落とす。


「えーと、まず散歩中に半蔵がリードを振り切って道路に飛び出していったんです」


「そうなんだよ。こいつ車を怖がらないから」


顔中を舐め回されながら、先生も困り顔。


「それをサッちゃんさんが追いかけました。そこにトラックが猛スピードで突っ込んできたんです」


「私、事故で亡くなったんですね」


「いや、まだ続きがあって。半蔵がそこに飛び込んできたんです。間一髪、半蔵に助けられてサッちゃんさんも無事だったんですけど__」


「なんか嫌な流れを僕は感じるけど?」


「半蔵を抱き抱えて戻った矢先、なに1つ障害物のない平坦な道でコケて亡くなりました」


「もう1人いたー‼︎」