ごとんっ 都会の遊園地にあるもののような新しさも、広さもない、この観覧車。 中はゴトゴトと揺れ、隙間からは風が入る。 ……そんな年季がかかった観覧車でも、私たちにとっては思い出が詰まった、特別な空間で。 「……冬香。」 私の名前を、切なげな声で呼ぶ彼。 今日で、最後。 今日が終われば、私たちの間に特別なものなんて無くなる。