リリアは去年、化け猫の衣装を着たのを思い出した。 去年はたしか、お兄様のご希望にお応えして化け猫の衣装を着ましたわね。 思わず一人でクスクスと笑ってしまう。 「……?」 ふと横を見ると、人目のつかない路地裏に一人、自分と同じくらいの女の子がいた。 迷子かしら? リリアがそう思って、少女に声をかける。