「ねぇ柚月、大丈夫?さっきから全然喋んないけど」
「えっ!」
そう言われて、今日自分のテンションが低いことを琴子にまで感づかれてしまったかなと思いドキッとする。
ダメだ私ったら、またボーっとして……。
「そ、そんなことないよっ!ほら、いろいろあるから迷っちゃってさ」
「ならいいけど。まあ確かに迷うよね。どこも魅力的だし」
「そうそう。でも私はおいしいものが食べられれば、あとは何でもいいかなぁ~。あはは」
慌てて笑顔を作り、何でもないフリをする。
危ない危ない。気を使わせないようにしなくちゃ。
そしたら琴子はいつも通り呆れた顔で笑ってくれた。
「あはは、柚月らしいね」
そんな私たちの様子を斜め前の席に座るりっくんがなぜかじーっと見ている。
りっくんはいつのまにかいつもの髪型に戻っていて、それを見たらなんだか少し申し訳ない気持ちになった。
本当にわざわざ髪を直したんだ。
「おーい梨月、お前はどこ行きたいの?」



