だって、涼ちゃんはいつもそう言って私の手をあっためてくれるから。


涼ちゃんの手のぬくもりを感じられて、幸せな気持ちになれるから。


だけど次の瞬間、そのぬくもりはどこかへ消えてしまう。


温かかったはずの彼の手が、どんどん冷えていって。


しまいには、私の手よりもずっと冷たくなってしまった。


ハッとして彼の名前を呼ぶ。


『涼ちゃん!涼ちゃん!』


すると、先ほどまで笑っていたはずの彼の顔から表情が消えている。いつのまにか目も閉じられて……。


あぁ、やめて。お願い。


お願いだから、涼ちゃんを連れて行かないで。


必死で神様にそうお願いした。


だけどもう、その手の温度は戻らない。


『嫌だ……っ。涼ちゃん!!』


そのまま彼の目が再び開くことはなくて、私はその場で崩れるように泣いた。


「いやあぁ~っ!!」