不思議に思いながらキョロキョロとあたりを見回すと、確かにさっきまでは周りに誰もいなかったのに、いつの間にかチラホラと人の姿が見える。


あぁそっか。人前で褒められたら恥ずかしいってことなのかな。


「とりあえず、帰るぞ」


するとりっくんは話を遮るかのようにそう言って、私の手を強引にぎゅっと握るとスタスタと歩き始めた。


ふと見上げると、彼は顔だけじゃなく耳まで赤くなっている。


そんな彼の姿を見て、思わず顔がほころんでしまう私。


りっくんったら、人前で手を繋ぐのは平気なのに、褒められると照れちゃうんだ。


クールでしっかりしているように見えて、意外とシャイなのかな。


「ふふっ」


「……なに笑ってんだよ」


「え?ううん、なんでもないよ」


「はぁ?」


一人でクスクス笑っていたら、渋い顔をされてしまったけれど。


不覚にも、彼のことをちょっと可愛いなぁなんて思ってしまった。


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