先輩の一人がそう言って私の肩をドン、と突き飛ばす。
その力が強くて、危うく転びそうになった。
「アンタなんか梨月くんにもてあそばれてるだけだから!」
「そうだよ。勘違いすんな!」
そして今度は茶髪の先輩がとどめを刺すかのように勢いよく手を振り上げて。
……あ、ダメだ。ぶたれる!
そう思ってギュッと目をつぶった瞬間だった。
――パシンッ。
何かを受け止めるような音と共に、聞こえてきた低い声。
「なにやってんすか?」
……あれ?
どうやら私、ぶたれずにすんだみたい。
おそるおそる目を開けると、目の前の先輩がビックリしたような顔をして固まっている。
そしてその振り上げた腕を、うしろからなんと、りっくんが掴んでいて……。
「りっくん!!」
驚きのあまり彼の名前を大声で叫んでしまった。



