でもりっくんは照れるどころか、いつものクールな表情に戻ると、フンと鼻で笑って。
「いいんだよ。わざと見せつけてやったんだよ」
「えぇっ!?わざと?」
ウソ。そうだったの?なんでまた……。
「うん。だってムカついたからな」
それを聞いて、さっきの男子たちがりっくんの悪口を言っていたことを思い出す。
「え……。もしかして、さっきのあの人たちの会話?」
「うん」
そっか。りっくんもあの会話聞いてたんだね。
だから急にあんなことしたんだ。
たしかに何も悪いことしてないのに、あんな言い方されたら嫌だよね……。
そう思った私は、励ますかのようにポンと彼の肩を叩いてみせた。
「き、きにしなくていいよっ」
「え?」
「りっくんは、顔だけなんかじゃないし!」
そしたらりっくんは少し困ったように眉をひそめながら。
「……なんだよ急に。べつに気にしてねぇよ」
なんて言うけど、ほんとは絶対傷ついたよね。



