琴子はすごく驚いてはいたけど、意外にもこの計画に賛成みたい。よかった。
真面目な琴子のことだから渋い顔するかとも思ったけど、なんか逆に嬉しそうだし。
「ていうか、この際ほんとに付き合っちゃえばいいじゃん」
ニヤニヤしながら私の肩にポンと手を置く琴子。
また言われた、このセリフ。
「いやいや、それはないよ。そもそもりっくんだってそんな気はないだろうし」
「そうかなー?」
「ほら、りっくんも女よけになるから助かるんだってさ」
私がそう言うと、「ふーん」とうなずきながらも何か考え込んだような表情になる彼女。
「でも、梨月くんだっていくら助かるからとはいえ、相手が誰でもいいわけじゃないでしょ?」
「えっ?」
「いくらフリでもさぁ、誰とでも手を繋ぐような男じゃないと私は思うけどな。柚月だからこんな提案したんじゃないの?」



