「ドキドキするっていうか……照れるじゃん。やっぱ」


「へー。ゆずでも照れるんだ」


「そ、そりゃそうだよっ。人間だもの」


「……ぶっ。なんだよそれ。お前に照れられると俺も照れるんだけど」


「えっ?ウソっ」


そうなの?りっくんも?


「いや、ウソだけど」


……あ、なんだ。


キョトンとする私を見て、りっくんはイタズラっぽく笑うと、そのままぎゅっと手を強く握りしめる。


「まぁいいや。とりあえず行くぞ」


そしてスタスタと歩き始めたので、私も慌ててそれについて歩きだした。


……それにしても、男の子と手をつなぐなんて、すごく久しぶり。中学生以来だなぁ。


りっくんの手がすごくあったかくて、なんだか妙に安心する。


男の子の手ってみんなあったかいのかな?


手のひらからじんわりと彼の体温が伝わってきて、いつも冷たい私の手がだんだんとあったまっていくのがわかる。


照れ臭くて顔が火照るせいもあって、さっきまでの寒さが一気にどこかへ吹き飛んでしまったかのようだった。