「でもね、ゆずちゃんはゆずちゃんで、これからたくさん新しい恋をして、楽しいことして、幸せになっていいんだよ。涼介のことを忘れないでいてくれるのはありがたいけど、ゆずちゃんがもし今でも過去のことをすごく気にしてるのなら、私一回話そうかなって思ってたの」
「由梨子さん……」
ビックリした。由梨子さんがまさか、そこまで私のことを心配してくれてただなんて。
私が目を見開くと、由梨子さんは少し昔を思い出したように切ない表情を浮かべる。
「私も涼介のことがあってしばらくはご飯もろくに食べられなくて、毎日が辛くてたまらなかった。すぐには受け入れることなんてできなかったし、今でもやっぱり全部は受け入れられてないところがあるし……」
そう語る彼女の気持ちがわかりすぎて泣きそうになる。
自分もここまで立ち直るのにはずいぶん時間がかかった。
実の姉である由梨子さんなんか、もっとずっと辛かったんじゃないかな。



