男の子が黒い折り畳み傘を持って、女の子を傘の中に入れてあげている。


相合傘か。カップルかなぁ。


だけどなんか、あの後ろ姿はどこかで見たことがあるような……?


そう思って近づいていったら、次の瞬間男の子が傘を傾け、隣を振り返るのが見えて。


その顔を確認したとたん、心臓が止まりかけた。


だって、そこにいたのはまさかの、りっくんだったから。


そして、その隣に並んでいたキャメルのコートを着た女の子は、よく見たら亜美ちゃんだった。


ドクドクと急激に鼓動が早まる。


ウソでしょ……。ちょっと待って。


なんで二人が相合傘なんかして一緒に帰ってるんだろう。


亜美ちゃんが甘えたような声でりっくんに話しかける。


「ごめんね~、傘入れてもらっちゃって。まさか今日雪が降るだなんて思ってなかったから。梨月くん、折り畳み傘持ってるなんて準備がいいね」


「いやべつに、バイト行くついでだから。傘はたまたま持ってただけだし」