その日の放課後、いつものように下駄箱で靴を履き替え一人で昇降口を出たら、タイミング悪くパラパラと雪が降り出してきてしまった。


天気予報では雪が降るなんて言ってなかったから、傘は持ってきていないし、折り畳み傘も常備していない。


だけど、そこまでたくさん降っているわけじゃないからなんとかなると思い、そのまま走って帰ることにした。


白い息を吐きながら駅まで急ぐ。顔にかかる雪が冷たくて、頬が痛い。


ただでさえ寒がりなのに、こんな薄暗い中雪に濡れて一人で帰るなんて、心まで凍えそうな気分だ。


「はぁ、はぁ……」


途中、公園の近くまで来たところで走り疲れてしまったので、膝に手をつきながら呼吸を整える。


すると、ふと前方にうちの学校の制服を着た男女の姿が見えた。