ガムを一粒手に取って、彼に手渡す。
だけどりっくんはそれを見て一瞬黙ると、少し渋い顔をして。
「……いや、俺はいい。いらない」
断ると同時に、すぐそっぽを向いてしまった。
……え?
あまりのそっけない態度に、ピシッと表情が固まる。
「それより玲二、早くしねぇと学食混むから行こうぜ」
さらにりっくんは玲二くんにそう告げると、ささっとその場を離れて歩き出す。
「えっ、あぁ。そうだな」
そんな彼の態度に玲二くんは少し戸惑った様子だったけれど、すぐ自分も後を追うように歩きだした。
「そ、それじゃあね!ゆずちゃん、ガムありがと!」
振り返り手を振ってくれる玲二くんの姿を見ながら呆然とたたずむ私。
……ウソ、行っちゃった。
っていうか、なんだろう今の態度。
りっくんって、あんなにそっけなかったっけ?



