玲二くんは、今でもこんなふうに気軽に話しかけてくる。
「俺も食べてみたい。一個ちょーだい」
「いいよー」
言われてガムを一個あげたら彼もさっそくそれを口にした。
「ん、うまい~!超ピーチ!でも甘すぎなくていいね」
「でしょ。程よい甘さがいいよね」
三人でガムの話で盛り上がる。
そしたらそこにりっくんも現れて、後ろから玲二くんの肩をポンと叩いた。
「おい玲二、なにしてんの?」
突然の彼の登場に、思わずドキッとしてしまう私。
「おう梨月!」
「学食行かねぇの?」
「あぁ、行く行く!てか梨月、このガム超うまいよ」
「え、ガム?」
「うん。今ゆずちゃんにもらったんだけどさ。あ、大丈夫。梨味じゃないから安心して。ピーチミント味だぜ」
なんて言いながら玲二くんが、私の持つガムを指差す。
私はとっさにりっくんにも笑顔で声をかけた。
「あっ、よかったらりっくんも食べる?はい、どうぞ」



