ICカードをピッとかざして改札を抜ける。


階段を下りて、少しドキドキしながらホームに向かうと、青いベンチにネイビーのコートを着た男の子が座っているのが見えた。


……りっくんだ。


よかった。ちゃんと会えた。


それにしてもさすがりっくん、遠目に見てもスタイルが良くてイケメンなのがわかる。


「りっくん!」


私が声をかけながら笑顔で駆け寄っていったら、りっくんはふぅっと白い息を吐きながらこちらを振り返った。


「あ、ゆず」


「お待たせっ」


そのまま彼のすぐそばまで来ると、りっくんが少し驚いたように目を見開く。


「……なんかお前、今日雰囲気違うな」


「え、そう?」


「うん。なんていうか……いや、なんでもない」


「え、なになに?」


「なんでもねぇよ」