「寒いっ。寒いね~」
「お前さっきから寒いしか言ってねぇな」
「だって、寒いんだもん!」
帰り道は、いつものようにりっくんと並んで一緒に帰る。
今日は風が冷たくて、いつも以上に空気が冷えていたので、さっきから「寒い」を連発していたらりっくんに呆れ顔で突っ込まれてしまった。
手に何度も息を吐きかけ、あっためる。でもあまり効果がない。
「手袋してないから寒いんじゃねぇの」
「それがね、手袋使ってたやつに穴が開いちゃって……」
「ウソだろ。どう扱ったら穴が開くんだよ」
「猫に引っかかれた」
「……ぷっ」
「あーっ、今笑ったでしょ!」
クスクス笑うりっくんの腕をビシバシ叩く。
そしたらひょいと腕を捕まえられて、そのまま右手をぎゅっと繋がれて。
ドキッとして顔を上げたら、りっくんはさらにその手を自分のコートのポケットに突っ込んだ。
「仕方ねぇな」



