思わず下を向いたら、りっくんがそんな私の手首をそっと握ってきた。
「俺以外に触られるの、嫌なんだ?」
「……っ!」
ドキッとして瞬時に顔が熱くなる。
やだ。そういえば私、今そんなこと言ったんだっけ。
「え……っと、うん。まぁ、そういうことに……」
りっくんったら、ちゃんと聞いてたんだ。
「俺はべつにいいの?ゆずに触れても」
「えっ……」
その言葉に驚いて顔を上げると、至近距離で私を見下ろすりっくんと目が合う。
触れてもいいだなんて、そんなこと聞かれたらなんだかドキドキしてしまう。
照れながらそっと手を伸ばし、りっくんのシャツの裾をきゅっと掴む。
「うん。だって、りっくんは〝彼氏〟だから……」
自分で言いながら恥ずかしくなったけれど、私が答えると、りっくんはフッと嬉しそうに笑った。
「そっか。そうだな」



