「人魚?」
「え、うん。だって、なんか自分も海の中を泳いでるみたいな気分にならない?」
「あぁ、確かに」
「私ね、子供のころ人魚姫の絵本が大好きでね。ずっと人魚になりたいって思ってた頃があったんだよね」
ふと昔を思い出して懐かしくなる。子供のころの憧れだった人魚姫。
だから、海の中にいるような気分になれる水族館は大好きだった。
「折り紙で貝殻の髪飾りとかネックレス作って、人魚姫ごっこしたりしてたんだよ」
「へぇ~。お前も意外とメルヘンチックなこと考えるんだな」
「へへっ、まぁね。これでも子供のころはメルヘン大好き少女だったんだから」
得意げな顔で答えたら、ふいにりっくんが顔を覗き込んでくる。
「じゃあまさか、王子様と結婚したいとか思ってたの?」
「え?そりゃ思ってたよー、もちろん!女の子の夢でしょ」
「ふ~ん、そっか……。そのうち素敵な王子様が現れるといいな」



