ふいに放たれた甘い言葉に、心臓がドクンと大きな音をたてて飛び跳ねた。


わあぁっ……。どうしちゃったんだろう、りっくん。


彼はそのまま何も言わず、もう片方の手を私の背中に回すと、さらにぎゅっと強く抱きしめてくる。


私はもう何が起こっているのかわからなくて、恥ずかしさのあまり、熱くなった体が今にも沸騰しそうだった。


まるで本当にりっくんが自分のことを好きみたいに思えて。


これもただ、恋人のフリをしてるだけなんだよね?本気で言ってるわけじゃないんだよね?


それなのに私、なんでこんなにドキドキしてるの……。


「ねぇちょっと、あれ見て!」


「ウソ!梨月くん!?」


すると、その時少し離れた場所から、女子数人がヒソヒソ話す声が聞こえてきて。


「梨月くんが彼女と抱き合ってる!」


「きゃーっ!やっぱりラブラブなんだね!」


「いいなぁ~」


その会話はどう考えても明らかに私たちが抱き合っているのを見ながら話しているものだったので、思わずヒヤッとしてしまった。


う、ウソ、やだ。どうしよう。


めちゃめちゃ見られてるよ。恥ずかしい!


りっくんはこんなの、平気なのかな?