隣にいたナナちゃんのスマホから着信音が流れる。
「……あっ。もしもし、カズくん?」
どうやら彼氏からの電話みたい。
「うん、うん。わかった。じゃあ、今から行くね」
そして彼女は嬉しそうに電話を切ると、照れたように笑いながら立ち上がって。
「あのー、話の途中でごめんね。実は今、カズくんに呼び出されちゃった。ホテルの外を散歩しに行こうっていうんだけど。行ってもいいかな?」
そんなのもちろん、だれも止めるはずがなかった。
「キャーッ!出たー、夜の海辺を二人でお散歩!いいなぁ」
「ラブラブじゃーん!楽しんできて!」
「行ってらっしゃい!」
私ももちろん快く送り出す。
そしたらなぜか、みんな今度は私のほうにジロジロと視線を送ってきて。
「あれー?そう言う柚月ちゃんは?」
「へっ?」
「いいの?梨月くんと会わなくて」
「そうだよ。二人きりになれるチャンスだよ~」
なぜか私まで散歩に行けとでもいうような流れに。
「いや、でもっ……!」



