「まずオレンジジュース、紅茶でイメージした人は順に……“自分が一緒にいて楽しいと思う人”と、“自分もそうなりたいと思う人”だって。どう?」



そう言って、沙頼は雑誌から私たちの方へと顔を上げる。



「おー! あたしはすみんとさよちぃにした!」

「えー私は佳柄と沙頼にした!」

「私は佳柄とまおだったよ」



なんと、3人揃って自分以外のふたりを当てはめていたみたい。

結果が当たっていることもそうだけど、3人が同じことを考えていたのがびっくりだ。しかも内容がうれしいから、自然と笑顔になる。



「ふふっ、これはうれしいなー」

「うひゃーなんかあたしたち恥ずかしい3人だ!」

「あはは、じゃああとふたつ! まずコーヒー牛乳は、“少し近寄りがたい人”でー……」

「え、」



沙頼が続けたセリフに、思わず固まってしまう。

隣にいた佳柄は、私とは対照的。パッと明るい表情で反応を見せた。



「あ、それも合ってる! あたしよく吠えられる近所の犬にしたから!」

「犬?! 人じゃなくて?!」

「だってコーヒー牛乳色なんだもん~」



あっけらかんとそう話す佳柄に、沙頼はため息をついて「まあいいや」と会話を投げ出した。

それを視界の隅に捉えながらも、ぼんやり思う。


私がコーヒー牛乳で考えたのは、金子くんで。

すきになって、せめて普通の友達くらいには、仲良くなりたくて。そんなふうに、近づきたいと考えていたつもりだった。

けれど本当は自分でも無意識に、人気者の彼との間に壁を作って──心の奥では、近寄りがたい存在だと諦めていたのかな。