2階にある自分の教室に戻った私は、自分の席で5時間目の授業の準備していた友達のもとへと近づいた。
「あ、まお遅かったね。どっか寄り道でもしてたの?」
さっきまで机をくっつけて一緒にお弁当を食べていたから、私が1階の自販機に行ったことは彼女も知っている。こちらに気づいた新井田沙頼(にいださより)が、何のてらいもなくそう訊ねてきた。
寄り道というか、辻くんに強制連行のうえ尋問されてました……まあ、あんな会話恥ずかしくて教えたりなんかできないけど。
正直、今の私は精神的に疲労困憊だ。けれどそれを隠すため、無理やり笑みを浮かべた。
「んん……ちょっとね」
そうやって曖昧に言葉を返しつつ、さりげなく室内を見渡す。
私より先にあの場を離れたはずの辻くんは、まだ教室には戻っていないようだった。
……なんとなく、安心した、かも。
「はすみんさよちぃ! 食後の飴ちゃんどーぞ!」
「わ、佳柄。ありがとー」
「ありがとね」
背後からにゅっと現れたのは、昼休みも相変わらずテンションの高い佳柄だ。
沙頼とともにお礼を言って、こちらに差し出された袋の中に片手を突っ込む。
何気なく掴んだそれは、黄色いパッケージのレモン味。中身の飴玉を口に放り込めば、ふわりと甘い香りが鼻を抜ける。
「あ、まお遅かったね。どっか寄り道でもしてたの?」
さっきまで机をくっつけて一緒にお弁当を食べていたから、私が1階の自販機に行ったことは彼女も知っている。こちらに気づいた新井田沙頼(にいださより)が、何のてらいもなくそう訊ねてきた。
寄り道というか、辻くんに強制連行のうえ尋問されてました……まあ、あんな会話恥ずかしくて教えたりなんかできないけど。
正直、今の私は精神的に疲労困憊だ。けれどそれを隠すため、無理やり笑みを浮かべた。
「んん……ちょっとね」
そうやって曖昧に言葉を返しつつ、さりげなく室内を見渡す。
私より先にあの場を離れたはずの辻くんは、まだ教室には戻っていないようだった。
……なんとなく、安心した、かも。
「はすみんさよちぃ! 食後の飴ちゃんどーぞ!」
「わ、佳柄。ありがとー」
「ありがとね」
背後からにゅっと現れたのは、昼休みも相変わらずテンションの高い佳柄だ。
沙頼とともにお礼を言って、こちらに差し出された袋の中に片手を突っ込む。
何気なく掴んだそれは、黄色いパッケージのレモン味。中身の飴玉を口に放り込めば、ふわりと甘い香りが鼻を抜ける。



