「わっ私……っ、日曜日の辻くんたちの試合、観に行くから!」

「──は?」



自分の耳に届いたのは、予想外のセリフだ。拍子抜けして、思わず間抜けな声が漏れた。

けれどこちらに向けられた大真面目な顔は、冗談を言っているようにも思えなくて。



「……え、なに……もしかして、それだけ?」

「そ、それだけって……」

「あ、あー……いや、うん、なんつーか、違くて」



つい聞き返してしまうと、恥ずかしいのか頬がみるみる紅潮していく。

かわいそうなくらい、真っ赤になった蓮見。そんな彼女を見ているうち、知らず知らずに緊張していたらしい体から、またふっと余計な力が抜けた。


あさって……自分がキャッチャーとして出場する試合を、彼女が観に来てくれる。



「……うん、さんきゅ。俺がんばるよ」



そう返しながら、俺は。

なんとなく、その日が本当に“答え”を知る日なのだろうと、勘づいてた。