……いい加減。腹をくくるべきなのかも、しれないな。



「辻くんは……中学生の頃から、里見くんとバッテリーを組んでたんだよね」

「ん? ああ」

「すごいね、ずっと一緒にやってきたんだ」

「まあ、ただの腐れ縁なだけだって」



だんだん安定してきた蓮見の投げるボールは、ぽす、と軽い音をたてて俺のミットへ届く。

右手で握りしめたそれを、少しだけ見つめる。顔を上げた俺は意を決して、また口を開いた。



「長い間、同じヤツのキャッチやってるとさ」

「え?」

「不思議なもんで、こうやってボールを受けるだけで、ソイツのそのときの感情がだいたいわかったりするんだよ。今コイツは機嫌がいいなとか、不安なんだなとか」

「ええっ、じゃあ今こうしてキャッチボールしてる私の心も、もしかして読まれてる……?!」

「いや、長い間って言ってんだろ」



衝撃を受けたような表情の蓮見に思わずツッコみながら、持っていたボールを投げ返す。

白球は放物線を描いて、彼女のグラブの中へ。