「悠介てめー、どういうつもりだよ?」



数回のコール音の後電話に出た悠介に、俺は開口1番そうまくしたてた。

対する悠介はというと、《なんのことー?》なんてすっとぼけている。



「とぼけんなっつの。おまえだろ、階段から落ちたこと蓮見に教えたの」

《あっはっは、やっぱりバレた?》

「……はあ」



受話器部分から聞こえてくる笑い声に、思わずため息。

気を使って【今電話して大丈夫か?】なんてメッセージを先に送らないで、いきなり鳴らしてやればよかった。

まあどちらにしろ、今はとっくに部活を終えて家に帰っている時間ではあるんだけど。



「来たよ蓮見、授業サボって。……一瞬どうしてやろうかと血迷いかけた」

《ふはっ、つーことはなんもしてないんだ? 健全な高校生男子としては正しい思考だけど、よく我慢したなー》



けらけらと電話口で笑う悠介は、本当に悪気がないんだろうが……こちらにとってはまったく笑えない言葉だ。

ベッドに腰かけたままうなだれて、ペットボトルを持っている左手を思わずひたいにあててしまう。