「うわごめんっ、俺ちゃんと前見てなくて……! 怪我とかしなかった?!」

「あ、全然平気だよ。私も考え事してたし……」

「ホント? ならよかった」



両手を顔の前でパタパタ振りながら答えれば、里見くんが安心したように表情を崩す。

なんだか、前にもこんなことがあった。グラウンドの横を歩いていたら自分の方にボールが飛んできて、そして謝りにきた里見くんと話をした、あのときみたいだ。


彼は「ほんとにごめんね」、ともう1度謝罪してから、なぜかまじまじと私を見下ろす。



「つーかさ、蓮見さんって思ってたよりちっこいんだね。ちょっとオドロキ」

「へ……」

「あっ、別に馬鹿にしてるわけじゃないよ?! それにホラ、前にしゃべったときはフェンス越しだったしさ!」



私が目を丸くして見上げたら、里見くんは慌てたようにフォローした。

……えーっと、そんなに焦らなくても大丈夫なんだけどな。

私は苦笑いを浮かべて首を横に振る。