その日の放課後、涼子につきあってもらって駅前の商店街にある手芸屋さんに寄った。

理想どおりの毛糸が見つからなくて残念だったけれど、ピンクを基調に、ブルーやグリーンやパープル、いろんな色の混ざった毛糸見つけて、それでマフラーを編むことにした。

「ついでにあたしの分も」
と、涼子にブルーとグレーの混ざったような寒色の毛糸を押しつけられた。
もう、ちゃっかりしてるんだから。



それからあたしたちは、駅前のフルーツパーラーに入って、お茶することにした。

あたしたちの通う女子校は、いちおうお嬢様学校ってことになってて、この制服を着ているといやでも注目を浴びてしまう。しかもだれもがふりかえってしまうような美少女の涼子といっしょなんだから、なおさらだ。

「あたしにはファーストフードなんて似合わない」

と涼子は言うので、あたしたちはいつもこのフルーツパーラーか、商店街の中にある雰囲気のいいケーキ屋さんでお茶することにしてる。
涼子はほんとにほんとの「お嬢様」だからいいけど、あたしのわびしいおこづかいだと、正直つらい。


「いいよ。父親のカード使い放題だから、おごってあげる」
と涼子は言うけれど、それはそれで気が引けるから、いつもきっちりワリカン。ただし、お茶するのは週に一回までにしてもらってる。
どうせ家に帰ったら、ママにつきあってお茶しなくちゃならないし。最近、二の腕のたぷたぷが気になってるし。