翌朝、あたしはいつもより早く起きて、眠い目をこすりながら隣の家の敷地にこっそり侵入して、昨晩まきちらしたビーズを拾っていた。

だんだん涼しくなってきて、この時間だと長袖のTシャツ一枚じゃ肌寒く感じる。

新しいマフラーが欲しいなあ。

いろんな色のまざった太い毛糸でざっくり編んだやつがいい。

ライムグリーンとピンク。

学校の帰りに手芸屋さんに寄ろうかな。


そんなことをぼんやり考えていると、勝手口のドアが開いてそこから司があらわれた。

早朝トレーニングにでもいくのだろうか。ベースボールキャップをまぶかにかぶって、紺色のトレーニングスーツの上下を着て、ランニングシューズを履いている。

司は野球部に所属していて、しかもエースで四番なんだそうだ。

あたしは野球のことはよくわかんないから、「エースで四番!」というのがどれだけすごいことなのかいまいちわかんないんだけど。