いちばん古い記憶は夏の午後だ。

暑くて、すごく暑くて、汗だくになりながらお昼寝していた。

おとなりさんちのサンルームで。

おとなりさんちの三兄弟と。


「あんたたち、そんなとこで寝てたら脱水症状起こすわよ」

おばさんがあわてて駆け寄ってきて、順番にあたしたちの汗を拭いてくれた。


あたしたちは、うんと濃い麦茶に氷をたくさんいれて、ごくごく飲み干した。

飲んでも飲んでも、まだほしくなって、でもなんとなく遠慮してたら、

「ほら、あおい」

横から忍(シノブ)の手が伸びてきて、麦茶を注いでくれた。


いつもそう。

忍は三兄弟の長男で、あたしの三つ上。

本当のお兄ちゃんみたいにやさしくて、あたしのほしいものをすぐにくれる。