【短】コンソメスープが重たくて



 ――――そっか。わたし、気づかなかった。



 瑠美は蓋をしていた。
 自分の想いに蓋をして、閉じ込めて、二度と出られないように抑えつけていた。



『僕は瑠美さんの料理が好き』



 その言葉で蓋が緩んだ。
 緩んだと思ったら、いとも簡単に彼は蓋を取り外しにかかる。


 強引にこじ開けようとした過去の男とは違う。


 その優しい手つきに、言葉に、瑠美は認めるしかなくなった。



 ――――彼に恋をしていたんだ。ずっと好きだったんだ。



 恋することから遠ざかり、人と関わることを諦めた。


 全ては初恋の思い出のせい。
 恋は恐怖でしかなかった。恋をすると傷つくと思っていたからだ。



「付き合ってください!」



 瑠美は思う。
 自分の作った料理を愛し、相原瑠美を好きだと言ってくれる男性。彼をもう一度、信じてみてもいいのではないか、と。