雪だるまにマフラーはいらない

あのころとは違い、雪だるまの頭を上に乗せることにそんなに苦労はしなかった。







「まあまあ、いいんじゃない」
 





頭と体のバランスがとれている雪だるまができた。






「まだ、完成じゃないよ」
 






 志織ちゃんは自分のマフラーを雪だるまに巻いた。十年前と同じように。






「やっぱり、マフラー巻くんだね」








「やっぱり?」








「昔、一緒に作ったときも巻いてたから」






「そうだっけ、忘れちゃった」
 







 小学校低学年の話だから、覚えている方がおかしいか。