「クリスマスのセットメニューですか……」

「ちょうど去年のクリスマスは俺が仕入れのために日本にいなかったからな、限定ものはやらなかったんだよ。だから今年はやるつもりでいる」

壁際にあるソファにどかりと座ると、石堂さんは足を組んで大きくため息をついた。

「けど、なかなか雅人さんが考えたスイーツに合うコーヒーレシピが思い浮かばない」

見るからに機嫌が悪そうだ。レシピ作りがうまくいかないことに悩み、苛々しているようだった。

「いつもはぱっぱとレシピを考えるじゃないか、慧、最近変だぞ? あまり無理は――」

「別に、いつもと変わらないだろ。それに一度やると決めたらやる」

「まったく……頑固なところは親父譲りだな」

「別に、親父は関係ないだろ」

私のことを気にもせず、内輪もめのような雰囲気になっていく。