「もう、この世の終り~! みたいな顔しないの、元気だして!」

「うん、ありがと」

“もう大丈夫”と伝えるように私が小さく笑うと、少し間を置いてから沙耶が改まったように言った。

「会社も潰れちゃったし、これを機に私、青森の実家に帰ろうかと思ってるの」

「え……?」

「あのね、こんな時になんなんだけど……実は前から親に結婚を勧められててね」

「は?」

な、なになになに!? 頭が追いついていかないよ――。

突然の沙耶の告白に私は口をあけて唖然としてしまう。

「里美だから打ち明けるんだけどさ、結婚って言われても最初は気乗りしなかったんだよねぇ、でも地元に帰省した時に相手に会ってみたら、これがまた結構いい男でさ」

そう言って沙耶は、ハートオーラを撒き散らしながら再びカフェラテに口をつけた。


結婚? 沙耶が――?