もう思い出したくない、家族のことなんて……考えたくない――。

そう、私は私の道を進んでいる。過去を振り返るなんて時間の無駄だし、憂鬱な気持ちになるだけだ。

私は、家族との回想を振り切るように、その写真を真っ二つに引きちぎろうと手をかけた。が、歪んだ写真を見た瞬間、なぜかそれ以上手を進めることができなかった。

馬鹿だな……私――。

未練がましいとは思いつつ、私は結局、写真を本の中に挟んでそれを棚の隅へしまった。