「お待たせしました!」

「お疲れ」

私服に着替えて、にこやかに笑う雅人さんに見送られ、店の外に出ると、石堂さんが待っていた。石堂さんは、バリスタの制服も似合うけれど、スーツ姿も文句なしにかっこいい。制服姿はもう見られないのかと思うと、少し寂しい気もした。けれど、こんな素敵な人が私の恋人だなんて、いまだに信じられないくらいだ。

「食事、まだだろ? 予約してる店があるんだ」

「本当ですか? いいですね! 楽しみです」

ここからは恋人同士の時間。お互いに手を重ね合わせてギュッと握り合う。

「そのあと……俺のマンションに来るか? 明日は休みだろ?」

「え……?」

それって……今夜は泊まりって意味で言ってるんだよね――?

明日の仕事は休みだし、今夜は恋人としてゆっくり時間を堪能できる。石堂さんと、あんなことやこんなこと……そう思うと、嬉しいような気恥ずかしさがこみ上げてくる。

「お前、なにひとりで真っ赤になってニヤついてんだ?」

「へ!?」

つい色々妄想して顔の筋肉が緩んでしまった。私は慌てて両手でパンパンと頬を叩いて顔を整えると、石堂さんが、目を細めてふっと笑った。