今日は金曜日。今夜は仕事が終わったら、石堂さんと会う約束をしている。
閉店まであと三十分。
お互いに忙しくて、恋人同士になってもまだデートらしいことはできていない。怜奈は前から私の気持ちに勘づいていて、晴れて石堂さんと付き合うようになったことを、時々茶化されるけれど、手放しに喜んでくれた。
石堂さんとデートだと思うと、気持ちがそわそわしてしまう。最後まで気を抜かないように、と思っていると……。
「すみません、お会計お願いします」
「は、はい! 今うかがい――っ!?」
ちょうど誰も従業員のいないレジ前で、ひとりの男性に声をかけられる。慌てて振り向くと、そのスーツを着た男性に、私は思わず声が裏返りそうになってしまった。
「石堂さん!?」
「おい、お前、声が大きい、店の中だぞ」
「す、すみません……」
ど、どうして石堂さんが店に――?
いつの間に店に入ってきたのか、全く気がつかなかった。怜奈を見ると、にやにやしてこちらを見ている。きっと、石堂さんが店に来たのを知ってたのに、わざと私に教えなかったのだ。
閉店まであと三十分。
お互いに忙しくて、恋人同士になってもまだデートらしいことはできていない。怜奈は前から私の気持ちに勘づいていて、晴れて石堂さんと付き合うようになったことを、時々茶化されるけれど、手放しに喜んでくれた。
石堂さんとデートだと思うと、気持ちがそわそわしてしまう。最後まで気を抜かないように、と思っていると……。
「すみません、お会計お願いします」
「は、はい! 今うかがい――っ!?」
ちょうど誰も従業員のいないレジ前で、ひとりの男性に声をかけられる。慌てて振り向くと、そのスーツを着た男性に、私は思わず声が裏返りそうになってしまった。
「石堂さん!?」
「おい、お前、声が大きい、店の中だぞ」
「す、すみません……」
ど、どうして石堂さんが店に――?
いつの間に店に入ってきたのか、全く気がつかなかった。怜奈を見ると、にやにやしてこちらを見ている。きっと、石堂さんが店に来たのを知ってたのに、わざと私に教えなかったのだ。



