それから数週間後。

私は晴れてスフラグループの社員として採用が決まった。今は本店の店長として毎日奮闘している。

「てんちょー！　今度の春のカフェメニュー企画どうしますか？」

「怜奈、もう、普通に喋ってってば、なんか丁寧に話されると変な感じ」

怜奈は私が淹れた注文のブレンドコーヒーをトレーに載せると、ニッと笑った。

「ふふ、いいじゃない。でも頑張ってね、社員になって大変かもしれないけど、私、全力で応援するから！」

「ありがとう、怜奈」

この店に来て、つらいこともたくさんあった。あの時から考えると、今、こうして社員となり、そして店長としてスフラで仕事をしているのが信じられないくらいだ。

雅人さんは私に店長のポジションを受け渡すと、今は補佐役として私を支えてくれている。

本店のスフラは、不思議と売上を伸ばしていて、プライベートで石堂さんに会った時に「よくやっている」と褒められる。仕事での悩みも親身に聞いてくれるし、石堂さんは頼もしい上司でもあり恋人だ。