私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~

「い、石堂さん、ここ会社……」

「関係ない、と言いたいところだけど……場所はわきまえないとな」

私だって石堂さんのぬくもりにまだ浸っていたい。けれど、いつどこで誰が見てるかもわからない。それに、彼は副社長という立場がある。それでも、やっと石堂さんに想いがつうじたと実感すると、涙が溢れて止まらなくなった。

「すまない。本当はもっと早くお前を面接して社員にしてやりたかったんだが……別件で思いのほか時間がかかってさ……」

石堂さんは、少し申し訳なさそうな口調で言うけれど、こうして私のことをちゃんと考えてくれていただけで満足だった。

「すみません、もう、嬉しくて……」

石堂さんは私を見つめて優しく微笑んだ。私には一生向けられることないだろうと思っていた彼の笑顔は、私をこの上なく幸せな気持ちにさせてくれた。

「お前はドジばっかりで、俺がどれだけお前をフォローしてたか知ってるか? 危なっかしくていつも見てた、けど一生懸命なお前の姿を……嫌いだって口では言っておきながら……好きになってた」

そう言うと、石堂さんは今まで見たこともないくらいに真っ赤になって、耳たぶまで朱に染まっていた。そんな彼の顔を私がじっと見つめていると、石堂さんは照れ隠ししたように頭を掻いた。