私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~

「最後に、彼女に質問したいことがある。席を外してくれ」

ようやく石堂さんが口を開くと、左右の面接官がすっと席を立って、私に軽く頭を下げると部屋を後にした。
ふたりの間に沈黙が訪れる。

私に、質問したいこと――?

今しがた面接で色々聞かれてある程度のことには答えた。すると、石堂さんが机に肘をついて、自分の顔の前で手を組んでいった。

「もう一度聞く、お前……本当に、うちでやっていくんだな?」

他の社員がいないからか、石堂さんはいつもの口調で私にそう尋ねた。

「はい。私の気持ちは変わりません」

「……そうか、わかった。俺の聞きたいことはそれだけだ」

どんな質問をされるのだろうかと、思わず身構えていたが、石堂さんはたったひとつ質問するだけだった。

「以上で面接は終わりだ。雅人さんのお墨付きだし、ほぼ採用確定だと思っていればいい」

「わかりました。ありがとうございました」

よ、よかった! でも、まだ結果がわからないから喜ぶのは早いよね――。

私は席を立って、石堂さんにぺこりと頭を下げる。そして、部屋を出ていこうとドアに手をかけたその時だった。ふわっと背中に温かな感触がして、私はかけた手をふと止めた。