私、それでもあなたが好きなんです！～悩みの種は好きな人～

十九時。スフラ本社。

仕事を終わらせて、慌ただしく時間が過ぎた。

スフラの本社は、企業本社が軒を連ねる都心部にあり、十階建ての自社ビルを構えている。

「花岡里美と申します。本日、社員面接に伺ったのですが」

エントランスをくぐって、正面の受付嬢にそう訪ねると、私より幾分か年下の女性が私を見てにこりとした。

「花岡様、ですね、お話は伺っておりますので、五階の応接室へどうぞ、エレベーターを降りてすぐのお部屋になります」

久々の面接という緊張を胸にエレベーターに乗り込んで、私は何度も生唾を飲み込んだ。

就職面接は今までに何回も受けてきたけれど、心臓が飛び出そうなくらいに今は緊張している。

頑張る、頑張る、頑張る――！

エレベーターが五階に到着し、私は面接をすると思われる部屋の前までたどり着いた。クリーニング仕立てのリクルートスーツを整え、大きく深呼吸する。

この部屋の向こうに、私の運命が――。