私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~

石堂さんのいない店は、やっぱり寂しくて物足りない。

――お前が店にいないと……なんか変だ

以前、私が店をインフルエンザで休んだ時、石堂さんは私にそう言った。あの時の石堂さんの気持ちは、こんな感じだったのだろうかと、ふとそんなことを思ってしまう。

カウンターでいつもコーヒーを淹れている石堂さんの姿をした幻影が見えては消える。怜奈を含め、店の従業員に、石堂さんがフスラの本社の人だったことはすで雅人さんの口から説明があったようで、皆、一緒に仕事ができなくなったことを残念がっていた。


石堂さんが本社に戻ってから一ヶ月の月日が経った。

彼は忙しいのか、ホテル出会ったのを最後に連絡は全くない。だから私も、会いたくて話がしたい気持ちを押し殺してずっと連絡を取らないでいた。それに、私の中で、あるひとつの決意が生まれた。

スフラの社員になって、この本店の店長になる。私がこの店を守っていく。そう決めた。そして、雅人さんにその旨を伝えると、「よかった! きっとそう言ってくれると思っていたよ」と賛成してくれた。

あとは、スフラグループが私を受け入れてくれるかどうかだ。

寒い寒い冬を越し、少しづつ暖かな陽気が続いていたそんなある日。