私、それでもあなたが好きなんです！～悩みの種は好きな人～

「あの、そもそも、石堂さんはどうして私があのホテルにいるってわかったんでしょうか？」

先程からずっと不思議に思っていた。石堂さんは、他の男に私を渡したくなかったから、とそう言っていたけれど、いきなり彼があの場所に現れたのはただの偶然じゃないことくらいわかる。

「……さぁ、それは本人に聞いてみるといい。あぁ、あと、前にあなたは石堂から“嫌いなタイプだ”と言われて落ち込んでいましたね」

「は、はい……」

「彼は天邪鬼だってことも、覚えておくといいですよ」

「あ、あまのじゃ……く？」

あまり多くは語らずに、水谷さんはただ、きょとんとしている私を見てクスリと笑った。そして、なぜ石堂さんがホテルの現れたのかというその答えは結局、曖昧のまま車はスフラへ向かって行った。