「石堂副社長は、普段はマイペースな性格ですが、本気の本気になったら、誰の足にも及ばない。あなたを手に入れるために奔走している彼は、怖いくらいに殺気立っていましたよ、ですが、あんな彼の姿を見るのは初めてで……」
水谷さんは思い出し笑いを堪えるように、忍び笑った。
「それに、初めて私があなたにお会いした時、私はあなたに石堂は婚約が決まっていると言いました。一応あなたへの牽制のつもりだったのですが……」
水谷さんがトーンを下げて言う。
「後に相手の方が、一ノ宮コーポレーションだと知って、内心私はその婚約には反対でした。なにしろ素行のよろしくない会社でしたので……ですが、私が意見するわけにもいかず、あなたには失礼な物言いをしてしまいました」
部下という立場で、たとえ婚約に反対していたとしても、どうすることもできなかった。彼の口調から、その時の歯がゆさが伝わってくる。
水谷さんは思い出し笑いを堪えるように、忍び笑った。
「それに、初めて私があなたにお会いした時、私はあなたに石堂は婚約が決まっていると言いました。一応あなたへの牽制のつもりだったのですが……」
水谷さんがトーンを下げて言う。
「後に相手の方が、一ノ宮コーポレーションだと知って、内心私はその婚約には反対でした。なにしろ素行のよろしくない会社でしたので……ですが、私が意見するわけにもいかず、あなたには失礼な物言いをしてしまいました」
部下という立場で、たとえ婚約に反対していたとしても、どうすることもできなかった。彼の口調から、その時の歯がゆさが伝わってくる。



