私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~

一度、雅人さんから店長にならないかと打診されたことがある。あの時は頭が混乱してしまい、自分に店長が務まるのかさえわからなくて、曖昧な返事をしてしまった。でも、今なら……。

そんなふうに思っていると、水谷さんが口にガムを放り込みながら言った。

「その報告書は、先日、石堂を筆頭に会議で出されたものですが……その一番最後のページを見てもらえますか?」

「最後のページ?」

裏表紙があって、報告書としては終わりなのだと思っていたが、一枚だけ、取ってつけたようなページが最後にあった。

“Aの業務態度は向上心があり、今後、大いに期待のできる人材。精神的には少々虚弱な面があるが、芯が強く目が離せない。常に目で追って、Aがミスのないようにバックアップする必要あり。笑顔は愛嬌もあり好印象、ずっと見ていたくなる笑顔”

え……? な、なにこれ――?

ずっと、見ていたくなる笑顔って――。

「……どうですか? 読んでもらえましたか?」

水谷さんがミラー越しに口元を緩めながら言う。