すると、姉は申し訳なさそうに俯いて、声のトーンを下げて言った。
「私と会った時、あまりにも里美に似てるから、やっぱり姉妹だって確信したって、まさか里美がスフラで働いていたなんて、これも本当に偶然ね。里美の居場所がわかって、本当はすぐにでも会いたかった。でも……里美は私を恨んでいるかもしれないって、そう思ったら、自分の気持ちだけを押し付けるみたいで、会いに行けなかった……」
会いたいという気持ちは、私だけではなかった。姉も同じように自分のことを思っていてくれたと思うと、嬉しくてたまらない。
「そんな……そんなことないよ、お姉ちゃん……私だって、ずっと会いたかったんだから」
テーブルの上で少し手を震わせている姉の手に、私は自分の手をそっと重ねた。それにホッとしたように、姉が小さく微笑んだ。その笑みに、私はひとつ尋ねたいことがあった。
「お姉ちゃんは……石堂さんと、本当に婚約しなくてよかったの?」
すると、姉は目を丸くして私の言葉が理解できかねるといった顔をした。
「いいもなにも……元々、婚約する気なんてなかったよ、それに、私と石堂さんがお見合いをしたとしても、きっとうまくいかなかった。だって、両親が裏でこんな目論見をしてたんだもの……それなのに、里美に無理やり好きでもない人と婚約させようとしてたなんて、許せない」
姉は私と全く中身は違うけれど、ひとつ似ていることがあった。それは、曲がったことが大嫌いなこと。姉はやはり二十年たってもその信条は変わっていなかった。
「私と会った時、あまりにも里美に似てるから、やっぱり姉妹だって確信したって、まさか里美がスフラで働いていたなんて、これも本当に偶然ね。里美の居場所がわかって、本当はすぐにでも会いたかった。でも……里美は私を恨んでいるかもしれないって、そう思ったら、自分の気持ちだけを押し付けるみたいで、会いに行けなかった……」
会いたいという気持ちは、私だけではなかった。姉も同じように自分のことを思っていてくれたと思うと、嬉しくてたまらない。
「そんな……そんなことないよ、お姉ちゃん……私だって、ずっと会いたかったんだから」
テーブルの上で少し手を震わせている姉の手に、私は自分の手をそっと重ねた。それにホッとしたように、姉が小さく微笑んだ。その笑みに、私はひとつ尋ねたいことがあった。
「お姉ちゃんは……石堂さんと、本当に婚約しなくてよかったの?」
すると、姉は目を丸くして私の言葉が理解できかねるといった顔をした。
「いいもなにも……元々、婚約する気なんてなかったよ、それに、私と石堂さんがお見合いをしたとしても、きっとうまくいかなかった。だって、両親が裏でこんな目論見をしてたんだもの……それなのに、里美に無理やり好きでもない人と婚約させようとしてたなんて、許せない」
姉は私と全く中身は違うけれど、ひとつ似ていることがあった。それは、曲がったことが大嫌いなこと。姉はやはり二十年たってもその信条は変わっていなかった。



