私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~

「そんな時に、いきなりスフラグループの副社長とお見合いが決まったって、母が嬉しそうに私にそう言ってきたの。契約を切られた取引先よ? おかしいと思って、私、ずっとお母さんと一ノ宮さんのこと警戒してた。絶対このふたり、なにか企んでるって」

「そうだったんだ……それで、あのICレコーダーに悪巧みの決定的証拠を録音したってわけね?」

そういうと、姉はこくりと頷いて、少しいたずらげに笑った。

「なんかね、探偵ごっこしてるみたいで結構楽しかったのよ? でも、これをどうにかして、スフラグループの副社長さんに手渡さなきゃって……でもね、石堂さんは一ノ宮さんよりもずっと上手だった」

どういうことかと、私は真剣な顔で思わず前のめりになる。

「石堂さん、一ノ宮コーポレーションのことをすでに調べ上げてた。裏でどんな汚い仕事をしているのかも全部……でも、決定的な証拠がなかったから、私が手渡したものをすごく喜んでくれた。それに、調べてる途中で私の妹が、あなただってことも知ったみたい」

いつから一ノ宮コーポレーションのことを調べていたのだろう。そんな話、ひとことも石堂さんから聞いてない。